ピロリ菌とは~保険適用拡大となりました~

ピロリ菌は胃がんの原因である

ピロリ菌の除菌治療が保険適応拡大となりました

pi1胃がん、胃潰瘍はピロリ菌が原因です。
ピロリ菌は幼少期に家庭内で感染します。
積極的にピロリ菌を検査し、感染が確認できた場合は除菌しましょう。
ピロリ菌の除菌は胃がんを予防する効果があります。
除菌後も胃がんのリスクがありますので定期的に胃カメラを受けましょう。

※保険でピロリ菌の診療を受けるには内視鏡検査を受けて頂く必要があります。

胃潰瘍もピロリ菌が原因
ピロリ菌の除菌は胃悪性リンパ腫の第一選択肢
他特発性血小板減少症も除菌で治る可能性がある

piroriピロリ菌とはヘリコバクター・ピロリという胃に生息するらせん型の細菌(バクテリア)のことをさします。今から30年前の1983年に発見され、その後研究が進み、胃がんの発がん物質であることが解明されました。

胃がんになった人はほとんどの人がピロリ菌の感染者であり、ピロリ菌に感染したことがなければ、胃がんになることはほとんどないのです。ピロリ菌は胃に慢性的かつ持続的に感染し慢性萎縮性胃炎を起こし、さらにその萎縮性胃炎が進展し胃がんが発生してくると考えられています。

胃がんの発がんに最も強く関与しているのはピロリ菌であり、ピロリ菌がよくメディアに取り上げられているのは、日本人が最も多く患う胃がんの原因だからなのです。

また、ピロリ菌は胃がん以外にも胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胃MALTリンパ腫、特発性血小板減少症の原因となっていることも分かっております。

また、反対にピロリ菌がいない人は逆流性食道炎や小児のぜんそくやアレルギーが多く起きていることが分かっています。ピロリ菌はおおよそ悪者ですが、少しだけ良いこともしているようです。

 患者説明用 wiki

ピロリ菌を発見した人はノーベル賞を受賞した

ピロリ菌は1983年、オーストラリアのロビン・ウォレン (J. Robin Warren) 先生とバリー・マーシャル (Barry J. Marshall) 先生により発見されました。

それまで、胃の内部は胃液に含まれる塩酸によって強酸性であるため、従来は細菌が生息できない環境だと考えられていました。

しかし、ヘリコバクター・ピロリはウレアーゼと呼ばれる酵素を産生しており、この酵素で胃粘液中の尿素をアンモニアと二酸化炭素に分解し、生じたアンモニアで、局所的に胃酸を中和することによって酸から身を守り、胃に生息しています。この菌の発見により動物の胃に適応して生息する細菌が存在することが明らかにされたのです。

ストレスや辛い食べ物、胃酸の分泌過剰が原因と考えられてきた胃潰瘍の原因がヘリコバクター・ピロリであることを発見し、2005年にノーベル生理学・医学賞を受賞しました。それまではピロリ菌の発見はノーベル賞級の発見といわれていましたが、本当にノーベル賞をとったということです。

ピロリ菌は幼少期に家庭内で感染

mb以前は世界中のほとんどの人がピロリ菌に感染していたとされていますが、先進国では衛生管理の徹底によって、この菌に感染していない人が増えてきています。2005年には世界人口の40-50%程度がピロリ菌の保菌者だと考えられています。日本は1992年の時点で20歳代の感染率は25%程度と低率であるが、40歳以上では7割を超えており発展途上国並に高いことが報告されています。

それから20年が経ち、ピロリの感染者は減ってきていると想像されます。日本のこの極端な二相性には、戦後急速に進んだ生活環境の改善が背景にあるものと考えられています。

現在のところ、ピロリ菌の感染経路は未だ不明です。胃内に定着することから経感染すると考えられており、口から口へまたは便から口へ感染すると予想されています。感染している親との小児期の濃密な接触(離乳食の口移しなど)、あるいは便に汚染された水・食品を介した感染経路が有力視されています。ピロリ菌は恐らく親から子供に家庭内で感染しているのです。

成人してからの感染は少なく、仮に感染して急性の炎症を起こしても、その時点から慢性化して胃に定着することはまれといわれております。

ピロリ菌とCagA

ピロリ菌はヒトと同じく遺伝子をもっています。その遺伝子には「cag pathogenicity island (cag PAI)」と呼ばれる領域があります。CagA はこの領域に含まれる遺伝子の一つ、CagA 遺伝子 (cytotoxin-associatedgene A) から産生される蛋白のことをさします。

CagA 遺伝子を持つピロリ菌株に感染した場合、持たない菌株の感染よりも消化性潰瘍や胃がんになるリスクが高いことが発表されております。東アジア型の菌株の大半がCagA 遺伝子を持つ一方で、西洋型菌の CagA保有率は50%程度であり、胃がんの発生率の地域差と相関しております。

胃の粘膜に取り付いたピロリ菌は、CagA蛋白を胃の細胞内に注入し、注入された CagA は細胞分裂と細胞接着に影響を及ぼすことが分かっています。

ピロリ菌治療が保険適応となりました

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