下剤の種類とそのアルゴリズム

当院施行の大腸内視鏡による大腸腺腫発見率

hakken

大腸内視鏡検査の際、大腸腺腫と呼ばれる前癌病変であるポリープを切除することは大腸癌の発生を予防します。そのため、腺腫を発見することは重要です。しかし、実際には医師の力量により腺腫の発見率は大きく異なります。また、腺腫発見率(ADR)の高い医師は大腸癌を多く予防していることも証明されております。当院のデータをお示し致します。腺腫発見率は全体で51.2%と、平均年齢が52歳と低い割に最高のグループに属します。(ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン誌2014年)
40歳代で42%の方が腺腫を持っていることから、「40歳になったら大腸内視鏡による大腸癌検診を受けた方が良い」という説を支持致します。

「全結腸色素内視鏡」は内視鏡検査の精度を上げる

インジゴカルミンという色素を大腸全体にまく大腸内視鏡を、「全結腸色素内視鏡」といいます。インジゴカルミンを散布すること粘膜の凹凸をより明瞭化させます。

そのため、「全結腸色素内視鏡」は、僅かな凹凸しかない微小病変を発見することができます。2011 年に、大腸腺腫の発見率を向上させると、報告されました(文献1)。私どもも2018年に、色素内視鏡により40%以上の見逃しを予防することができることを報告しております(文献2)。

私どもの施設でも「色素内視鏡」を長年行っておりますが、「色素内視鏡」は特に平らな形の腺腫を確実に発見することができます。腺腫の中でも平らな形のものは、 がん化のリスクが高いと分かっていますので、「色素内視鏡」は大変有用な検査です。

インジゴカルミンは小さな容器で市販されています。そのため、なかなか、大腸全体にまくことができないのですが、私共の施設ではインジゴカルミンを自家製で作っていますので、大腸全体にまくことができるのです。

当院の医師は病気の発見率を高められるように、日々精度の高さにこだわって検査をしております。「色素内視鏡」もその一つです。定期的に医師会・勉強会・講演会を行い、意識・情報を共有化することで内視鏡の精度管理を徹底しております。

病気を早期発見できれば、患者さんが少しでも幸せになれると信じております。

大腸腺腫とは悪性化するとがんになるポリープの一種、前がん病変。

文献1. Gut. 2011 Apr;60(4):485-90. doi: 10.1136/gut.2010.229534. Pancolonic chromoendoscopy with indigo carmine versus standard colonoscopy for detection of neoplastic lesions: a randomised two-centre trial. Jürgen Pohl他

文献2. Gut. 2018 Sep;67(9):1742-1743. doi: 10.1136/gutjnl-2017-314999. New-generation chromoendoscopy may increase confidence in the DISCARD2 study. Osamu Toyoshima他

第103回日本消化器内視鏡学会総会

第103回日本消化器内視鏡学会総会、シンポジウム 
5月13日~5月15日 京都

西澤 俊宏先生(水曜日ご担当)、吉田 俊太郎 副院長(金・土曜日担当)、院長が講演してまいりました。

 

シンポジウム :新型コロナウイルス蔓延下における消化器内視鏡、5月13日、京都

吉田俊太郎、西澤俊宏、豊島治

『COVID-19蔓延下における便潜血免疫法による大腸内視鏡の優先付け』

                                                

ワークショップ: 内視鏡検査・周術期管理のピットフォールと標準化、5月13日、京都

西澤俊宏、吉田俊太郎、豊島治

『内視鏡検査後の在院遅延の危険因子』

                                                

シンポジウム:上部消化管の内視鏡診断の最近の知見、5月14日、京都

豊島 治、吉田俊太郎、西澤俊宏

『内視鏡的・胃噴門部鳥肌様所見の pylori 感染を含む臨床的特徴』

                                                

パネルディスカッション:大腸内視鏡スクリーニングにおける工夫と課題、5月15日、京都

吉田俊太郎、西澤俊宏、豊島治

『Feedback による腺腫および鋸歯状ポリープ発見率の向上』

                                                

ワークショップ:大腸腫瘍に対する内視鏡診断・治療の将来展望、 5月15日、京都

豊島治、吉田俊太郎、西澤俊宏

『Texture and color enhancement imaging(TXI)による大腸ポリープの視認性』