2017年2月にJournal of Clinical Biochemistry and Nutrition(インパクトファクター2.190)から出版されました当院からの論文をご紹介します。
Title:『Effects of patient age and choice of antisecretory agent on success of eradication therapy for Helicobacter pylori infection』
(年齢と分泌抑制剤がピロリ菌除菌に及ぼす影響)
Authors: Nishizawa T, Suzuki H, Fujimoto A, Kinoshita H, Yoshida S, Isomura Y, Toyoshima A, Kanai T, Yahagi N, Toyoshima O
Journal of Clinical Biochemistry and Nutrition DOI: 10.3164/jcbn.16-86
要旨
患者年齢がピロリ菌除菌療法の効果に及ぼす影響は不明である。本研究は年齢がボノプラザン(新しいカリウムイオン競合型アシッドブロッカーpotassium-competitive acid blocker: PCAB)を含む除菌療法に及ぼす影響を調査することを目的とした。我々はとよしま内視鏡クリニックでピロリ菌の一次・二次除菌を受けた3261人を見直した。一次除菌はクラリスロマイシンとアモキシシリンとプロトンポンプ阻害薬(proton pump inhibitor: PPI)あるいはPCABとの組み合わせだった。二次除菌はメトロニダゾールとアモキシシリンとPPIあるいはPCABとの組み合わせだった。患者を若年+中年(50歳以下)と高齢(50歳より年配)に分け、また、PPI群とPCAB群に分けた。PPI+クラリスロマイシン+アモキシシリンレジメンはPCAB+クラリスロマイシン+アモキシシリンレジメンより有意に低いピロリ菌の除菌率を示した(67% vs. 89%, per protocol, P<0.001)。PPI+クラリスロマイシン+アモキシシリンレジメンでの除菌率は若年+中年が高齢より低かった(63% vs. 70%, per protocol, P<0.01)。一方、年齢はPCABを使用した治療とメトロニダゾールを使用した治療の除菌率に影響を及ぼさなかった。結論として、クラリスロマイシンを使用する3剤療法において、特に若年+中年者では、PCABがPPIに比較してより良い分泌抑制剤の選択肢である。