内視鏡施行時の適切なsedationの状態

内視鏡施行時の適切なsedationの状態

――――― 日本消化器内視鏡学会ガイドラインより

Sedationとは鎮静という意味であります。
「苦痛のない内視鏡」のニーズは高まっており、通常の内視鏡検査においても鎮静薬を用いる頻度が飛躍的に上昇しています。

内視鏡施行時の適切なsedationの状態とは
 内視鏡検査時のsedationには①鎮静からの覚醒が速い。②悪心、嘔吐がない。③呼吸器循環器系の強い抑制を起こさない。④安全域が広い。⑤拮抗薬がある。という点が大切である。
 鎮静薬にはベンゾジアゼピン、主にミダゾラム(ドルミカム)を用いる。鎮痛薬系統の薬剤には塩酸ペチジン(オピスタン)を用いる。
 Conscious sedationが理想的な状態。「医師と患者との間で主に口頭でcommunicationを保つことのできる鎮静状態」のことを指す。
 鎮静薬の過剰投与による事故を防ぐため、少量の投与量で開始し、患者の意識状態や苦痛に対する防御反応を監視しながら、必要に応じて追加していく。
 パルスオキシメーターで血中の酸素濃度をモニターする。呼吸抑制のある場合は呼名をして腹式呼吸を促す。
 鎮静薬の投与量は年齢、体重、性別、向精神薬の副用歴等より個々に調整が必要である。

逆流性食道炎

逆流性食道炎とは胃から胃酸が食道へ逆流して食道炎を起こしていることを指します。食道と胃の境界部分が赤くまたは白く変色したり、悪くなると潰瘍を形成したりします。
症状
胸やけ、上腹部のもたれ、胸痛、上腹部痛、喉、胸部の違和感、胃酸の逆流などがあり、食後や、空腹時に生じます。
診断
内視鏡(胃カメラ)で行います。また、内視鏡にて程度を分類します(M,A,B,C,D)。バリウムでは診断不能です。
原因
食道粘膜が胃酸により損傷を受けて生じます。胃酸過剰分泌(ピロリ菌感染の無い人)や、ピロリ菌感染症、食道裂孔ヘルニアが複合的に関与しています。
また、食事の内容によって症状が出ることが多くあります。揚げ物、ステーキ、ラーメン等の脂っこい食事(特に古い油を使って揚げたもの)、甘いもの(チョコレート、ケーキ、あんこ)、さつま芋、アルコール、唐辛子は症状を悪化させます。
治療
胃酸の分泌を抑制することで症状は劇的に改善します。プロトンポンプ阻害薬を服用します。ピロリ菌感染のある人は除菌で症状が軽快することがあります。
食事の内容を見直すことも大切な治療です。食事の量を減らし、胃腸への負担を減らす。野菜や水分を多めに摂取し、塩分は控える。揚げ物など、上記に挙げた逆流性食道炎を起こす食事はしない。
背筋を伸ばし腹圧を減らす。定期的に軽い運動をする。等も効果的です。

内視鏡の必要性

⇒がんの早期発見と予防に有効

内視鏡はなぜ受けた方が良いのか?
日本人はがんになりやすい民族です。特に、消化管(胃、大腸、食道)のがんにかかる方が多い。消化管のがんの早期発見と予防には内視鏡が大きな役割を果たしているためです。

①内視鏡はがんを早期に発見できる
②内視鏡ががんを予防することもできる

①内視鏡はがんを早期に発見できる
がんは早期に発見すれば完治する。・・・進行すれば手遅れになります。
がんは早期発見すれば内視鏡にて治療可能である。
早期がんの内視鏡による治療は体への負担が少なくて済む
バリウム検査や便潜血検査では早期がんの発見率が低い。

②内視鏡はがんを予防することもできる。
大腸がんは前がん病変である大腸ポリープを内視鏡で切除することにより大腸がんの発症を予防可能である。