大腸がんリスク点数化

大腸がんリスク点数化

がん研究センターの大腸がんリスク点数化について

国立がん研究センターのチームが2010年12月に発表した。
年齢、肥満、身体活動、喫煙、飲酒の指標を用い、中高年の男性が10年間に大腸がんを発症する確率を以下の表のように点数化した。

年齢(歳) 点数
40~44 0
45~49 1
50~54 3
55~59 4
60~64 5
65~69 6

体格指数(BMI) 点数
25未満 0
25以上 1
※体格指数(BMI)は{体重(kg)}÷{身長(m)} 2:BMI25以上はやや肥満でメタボリックシンドロームの基準の一つ

身体活動 点数
ほとんど動かない 0
一般的な生活 -1

喫煙習慣 点数
なし、過去にあり 0
あり 1

飲酒習慣 点数
なし、ときどき(月に1~3回) 0
週1回以上、アルコール量が週300g未満 1
週1回以上、アルコール量が週300g以上 2
※アルコール量の目安:ビール大瓶2本、または日本酒2合を毎日飲むと1週間で約320gになる

合計点数 発症確率(%)
-1 0.2
0 0.3
1 0.5
2 0.7
3 0.9
4 1.3
5 1.8
6 2.4
7 3.3
8 4.6
9 5.9
10 7.4

【考察】
65歳以上で点数が6点と、大腸がんの発症リスク点数は年齢による因子が高いといえるだろう。49歳から50歳に年齢が上がることで、リスク点数が2ポイントアップする点も年齢のリスクに寄与する程度が大きいことが推測される。40歳前後で、前がん病変である腺腫性大腸ポリープが出現し、10年から20年経ってがん化して大腸がんになるというモデルが多いということも裏付けられる。大腸内視鏡で腺腫を切除することにより、大腸がんは高率に予防することができると考えられるため、40歳になれば、全員大腸内視鏡検査を受けると良いだろう。
肥満、運動不足、喫煙、飲酒習慣が大腸がんのリスクファクターの一つであるといえる。リスクを少しでも減らすためには生活習慣の見直しが有効と判断できる。
Lancetにアスピリンが大腸がんの予防に有効とのデータが報告されたので、別頁で述べてみたい。

ピロリ菌の検査・除菌について

(1) 除菌療法の副作用について
i. よく起こるもの
下痢、軟便 約10~30%、味覚異常・舌炎・口内炎 5~15%、皮疹 2~5%
その他 腹痛、頭痛、頭重感、肝機能障害、めまい、掻痒感
飲酒により腹痛、嘔吐、ほてり等が現れることがあるので飲酒は避ける
ii. 治療中止となるような強い副作用
全身の発疹(ペニシリンアレルギー)、出血性大腸炎、激しい下痢、発熱、喉頭浮腫
(2) 保険適応がないことや健康保険システムのこと
ピロリ菌の有無を調べる検査や除菌の薬が全額自費となります
検査:便中ピロリ菌抗原検査 \4,000 ・ 尿素呼気試験(UBT) \6,000
除菌: ピロリ菌1・2次除菌   \11,000 ・ ピロリ菌3次除菌 \17,000
除菌療法の副作用で重篤なものは稀ですが、起きた場合、自費診療では、患者さんは公的な救済給付(医薬品副作用被害救済制度)受けられない可能性があります。
(3) 除菌成功率
一次除菌が約75%、二次除菌が約90%、三次除菌は約80%です。
(4) 除菌の結果判定について
当院では3カ月以上あけてから便の検査などで除菌の判定を行います。
(5) 除菌後のことについて
除菌をしても当該疾患の症状が改善しない可能性があります。
除菌に成功したら胃癌のリスクは減る可能性がありますが胃癌が完全には予防できません。除菌しても定期的な胃癌検診が必要です。
除菌後の食欲増進のため体重増加や逆流性食道炎(10%)が発症または増悪、コレステロール上昇などが起こる事があります。除菌後に逆流性食道炎のために胃酸を抑える薬を服用しなければならなくなるということがあります。
(6) 除菌のメリット
① 胃がんの発症を30%以下に抑える可能性がある
② 特に若年者では有効
③ 高齢者では胃粘膜の老化を防止
④ 内視鏡にて胃がんを早期発見可能(炎症が抑えられ、胃粘膜がきれいになるため)