ピロリ菌について(2011年1月追記)

ピロリ菌について(2011年1月追記)

【感染について】
ピロリ菌の感染者は国内で約6000万人に達する。年配者に多く、60歳以上では約6割が感染し、10歳では、約1割にとどまっていると推定される。上下水道の整備が進み、衛生状態が改善したことが、年齢により罹患率の差があることの要因として考えられている。保菌者とキスをしたり同じ鍋をつついたりしても成人の場合は感染しないと言われている。しかし、胃や免疫の機能が未発達である乳幼児は注意が必要だ。以前、コラムに鍋感染の可能性は低いと述べましたが、大分状況が変わってきました。(院長コラム・「ピロリ菌について」ご参照下さい。)
「げっぷで胃のピロリ菌が口に出てくることがある。その時に子供に口移しで食物を与えると、感染する可能性はあるが、うがいでほとんどが防げる。」と国立国際医療研究センター国府台病院院長(消化器内科)・上村直実先生は言われておられる。

【症状について】
ピロリ菌はアンモニアなど毒素を出すため、胃粘膜が炎症を起こして胃炎になる。自覚症状がないが、慢性胃炎を経て2~5%が胃潰瘍に、0.2~0.5%が胃がんになるとされる。慢性胃炎から胃潰瘍などになる仕組みはよく分かっていないが、胃壁が薄くなる「萎縮性胃炎」になると、胃がんになるリスクが高まる。炎症が進み、胃粘膜が腸化する「化生性胃炎」になるとさらにリスクは高くなる。
「薄くなった胃壁を修復しようと正常細胞が再生される過程で遺伝子に傷がつき、がん化すると考えられる。」と杏林大消化器内科教授・高橋信一先生は説明されておられる。

【検査】
胃がんを防ぐには、早期にピロリ菌の感染の有無を確認し除菌することが重要である。ただし、胃がんになる危険性はピロリ菌検査だけでは必ずしも正確に調べることはできないため、胃の萎縮の有無や程度を直接内視鏡にて調べるか、血液検査であるぺプシノゲン法を用い間接的に調べることも大切である。
ピロリ菌検査で陽性でも萎縮が軽度であれば、胃がんの発症リスクはさほど高くない。逆に、ピロリ菌検査が陰性でも萎縮の程度が強く、腸上皮化生をきたしていれば、リスクはかなり高くなり、1年以内に胃がんを発症する確率は1~2%にものぼる。ピロリ菌が生息できないほど萎縮が進んでいると考えられるからだ。
癌研有明病院顧問で日本胃がん予知・診断・治療研究機構理事長の三木一正先生がピロリ菌検査とペプシノゲン法を併用することが胃がんの予防に有用であると述べておられます。ペプシノゲン法は保険適応がありませんが、内視鏡をやるかのスクリーニング検査としては非常に有用であると考えます。